皆様 こんにちは!早くも年の瀬を迎え、なにかと気忙しい毎日ですね。
今回も前回に引き続き『借地借家法C』をお届けいたします。
【建物買取請求権】
借地期間が満了した後、借地の更新が為されない場合の規定です。
もし、借地の更新がされない場合、借地権者(借主)は、その土地の利用権がなくなりますので、はっきり言いますと、その土地を不法に占拠していることになります。なので、その土地の所有者から、土地の明け渡しを請求されたら、借地権者は建物を取り壊し(賃借人の目的物返還義務・・・現状に戻して返還する)、更地にして土地を渡さなければなりません。
しかし、建物を取り壊すことは、なにかと経済的損失をこうむります。また多額の金額で建築した建物を何の救済もなく簡単に壊すのも、借地権者から見れば納得いかないでしょう。
そのために借地借家法では、借地の更新がなかった場合、借地権者(借主)は借地権設定者(貸主)に対し、建物その他借地権者が権限によって土地に付属させたものを時価で買い取ることを請求できるとしています。この請求権を借地権者が行使しますと、借地権設定者の承諾がなくても当事者間に建物等の売買契約が成立したのと同一の効果が発生します。
例えば、借地権者Aさんが30年前の期間で土地を借り、その土地に一億円の家を建築しました。
このとき、30年後借地期間の満了の時、更新されなかった場合、Aさんはその建物を(時価2000万円とします)で買い取ることをBさんに請求できるというものです。これによって売買契約が成立したのと同一の効果が発生しますので、Aさんは建物の引渡し義務及び登記移転義務を負い、Bさんは代金の支払義務を負うことになります。
ただし、当事者が借地契約を合意解除した場合や借地権者の債務不履行により契約を解除された場合は、この建物買取請求権は行使できないことになっていますので注意してください。
【第三者の建物買取請求権】
ある人(第三者)が借地権者から建物等を購入した場合において、借地権設定者がその土地の賃借権の譲渡または転借を承諾しないときに第三者が行使できる権利です。
他人の土地を借りている借地権者が第三者に譲渡する場合は、譲り受けた者の土地利用権を確保するために建物の譲渡にあわせて、土地賃借権を譲渡または転貸しなければならないことになっています。そうしないと、たとえ建物を購入したといっても第三者は、その建物がある土地を使用することに関し、何の権限もありません。よって土地の所有者から土地の明渡し請求された場合は、その第三者はせっかく買った建物を取り壊し、その土地を引き渡さなくてはならなくなります。また、土地賃借権の譲渡または転貸は土地所有者(貸主)の承諾を得なければなりません。(または、それに代わる裁判所の許可)借地権者は無断で土地借地権の譲渡または転貸をすることが出来ないという事です。したがって、貸主が土地賃借権・・借地権の譲渡等を承諾すれば何の問題もないのですが、承諾しないときは、借地権上の建物を購入した第三者から見れば建物を使うことも出来ず、さらに土地の引渡しを請求されたら、建物を壊さなくてはならなくなり、大損です(もちろん、その建物を売った借地権者には第三者がその建物を利用できるようにする義務がありますので、第三者は借地権者に対してその売買契約の解除、損害賠償の請求等ができる場合があります。) 借地借家法では、こういう場合の譲受人(第三者)が借地権設定者(貸主)に対し、建物等を時価で買い取ることを請求できるとしています。先ほどと同じように、第三者がこの請求権を行使しますと、当事者の間で売買契約が成立したのと同じ効果が発生します。
契約書に定められた事は、当事者の協議によって変更することは可能です。しかし、借主がどうしても必要なのに貸主が何の理由もなく、契約の内容の変更等に応じない場合は、借主からすれば泣き寝入りする場合も出てきます。
例えば、借主の契約に借地上の建物の増改築禁止の特約があったとします。この特約は借地権設定者(貸主)の承諾がなければ建物の増改築はできないという内容です。この場合に、借地権者(借主)が増改築の必要が出てきたので、借地権設定者に増改築の承諾を求めたところ、借地権設定者は認めようとしなく、どうしてもというのなら非常に高額の承諾料を払えと言ったとします。こうなると借地権者はたまったものではありません。承諾を得ずに勝手に増改築を行うと、場合によっては契約違反・・債務不履行ということで契約を解除されかねませんし、多額の承諾料を支払うのも割に合わず、借地権者は結局、泣き寝入りすることになります。
しかし、法律ではこうゆう場合に対する備えが定められています。上記の例のように当事者の協議が調わないときは、裁判所は申し立てにより、借地権設定者に代わる許可を与えることができる、という定めがあります。この裁判所の許可を得ますと借地権者も問題なく増改築ができ一方的に泣き寝入りすることもありません。
借地借家法上、上記の増改築禁止の特約など、ある一定の場合における協議が調わないときに裁判所に許可等を得ることができる規定があります。上記の増改築禁止特約の場合もそうですが、申し立てがあったとしても、裁判所は必ず許可を出すわけでなく、色々な事情を考慮した上、許可を出すかどうかを決めることになっていることは、注意しておいてください。借地借家法に定められている裁判所の許可等に関する事柄は次の通りです。
1・借地条件の変更
2・増改築禁止特約がある場合の借地権設定者の承諾に代わる許可
3・借地契約更新後の建物の再建築における借地権設定者の承諾に代わる許可
4・土地の賃借権の譲渡または転貸における借地権設定者の承諾に代わる許可
5・建物競売等の場合における土地の賃借権の譲渡における借地権設定者に代わる許可
それぞれ、色々な事情を考慮した上で裁判所は許可等を決めることになっています。
【強行規定】
最後に強行規定について見ておこうと思います。
強行規定とは、ある法律の定めに反するものは無効というもので、例えば、借地期間を5年とする借地契約は借地期間は最低30年とする強行規定に反し無効になります。
借地借家法には、一部の規定を強行規定としており、その規定に反する特約で借地権者(また借家人)に不利なものは無効としています。ただ、この場合はその特約だけが無効となり、契約全体が無効となるわけではないことに注意して下さい。強行規定により無効となる特約を一部挙げておきます。
◎最初の借地期間を30年未満とする特約・更新後の借地期間を10年(一回目は20年)未満とする特約
◎借地権者が死亡したときは、借地を明渡さなければならないとする特約
◎更新を認めない特約
◎合意更新以外は認めない特約
◎借地借家法上の借地権の対抗力を排除する特約
◎借地借家法上の建物買取請求権を排除する特約
◎増改築禁止特約がある場合の借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可を申し立てないとする特 約など。
〜追加〜
【定期借地権】
定期借地権とは、一定の借地期間が満了すれば、更新されずに必ず土地が土地所有者に返還される借地権のことです。
この定期借地権には、長期定期借地権・建物譲渡特約付借地権・事業用借地権の三つの種類があります。
【一時使用目的の借地権】
短期間の一時使用のための借地権の場合と認められるときは、借地期間の強行規定など借地借家法の幾つかの規定は適用されないことになっています。
この一時使用目的、と判断されるか否かは、期間の長短のほか、目的、態様等その他の事情によって判断されることとなります。
例として、短期間の使用となる選挙事務所、博覧会などの建物所有の借地権が一時使用の借地権に当てはまると思います。
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